近年わが国における母性の健康問題は多様化ならびに複雑化してきています。
思春期の性の問題・出産様式の多様化・少子化・育児能力の低下・避妊と健康問題・性感染症・更年期の健康問題等々、今後真剣に対応していかなければならない問題が山積しております。
少子高齢化が進んでいる社会において、健康の次代の育成はますます大きく社会が取り組まなければならない課題でありましょう。
このような中にあって、多くの職種が共同してこれらの問題解決に向かって努力していかなければなりませんが、母性の健康問題をもつ人々の反応をアセスメントし、適切なケアを提供しリプロダクティブヘルスを目指した、生活及び人生の質の向上に貢献する看護の役割はますます増大していくことでしょう。
母性看護学は、昭和43年の看護婦養成カリキュラム改定以来、主要な学科目として教育されていきました。
また、母性看護学領域の研究も多数報告されています。しかし、多くの研究を統合し、深めて理論化し体系化していく努力に欠けていた感があります。そのために母性看護学に対する概念枠組みも研究者によって異なり、混乱が生じることもしばしばです。
看護系の大学が急増される中、ほとんどの大学において母性看護学の講座並びに教科目が置かれています。しかし、これまで母性看護学を標榜する学会はなく、他の看護分野の学会設立状況から見て、立ち後れていると思われます。
ここに日本母性看護学会を設立し、母性看護学領域の研究成果を蓄積し、体系的に発展させていき母性看護の立場から国民の保健医療に貢献していきたいと思います。
この趣旨にご賛同の上、ぜひ入会していただきたくお願い申し上げます。
平成11年3月15日